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【輸出貿易管理令】該非判定を行う際の3つの落とし穴?!

 
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当社、丸一海運株式会社は、江戸時代1751年創業の港湾運送業から始まった由緒ある会社です。日本のみならず世界にむけた物流・海運のプロフェッショナルとして、お役に立てる情報を提供いたします!

貨物を外国に輸出する際、輸出者は輸出貨物について「輸出貿易管理令の該非判定」を必ず行わなければなりません。経済産業省は、正確な該非判定と、それに基づく適切な輸出管理を輸出者に求めていますが、「該非判定」に起因する外為法違反はなかなか無くならないようです。

今回は外為法違反の主な原因と、該非判定を行う際に注意すべきポイントをご紹介いたします。

そもそも該非判定とは?

「該非判定」とは、輸出しようとする「貨物」や「技術」が法令で規制されているかどうかを判定することです。ここでいう「法令」とは「外国為替及び外国貿易法(外為法)」と、それに紐づいた政令である「輸出貿易管理令」「外国為替令」を指します。(下記の法体系の図参照)

「輸出貿易管理令」では輸出される「貨物」を規制しており、「外国為替令」では輸出される「技術」を規制しています。今回は「貨物」の方に焦点を当て、輸出貿易管理令における該非判定において、なぜ外為法違反が起きてしまうのかを見ていきましょう。

<法体系>

経済産業省 安全保障貿易管理HPより引用 資料「安全保障貿易管理ガイダンス[入門編] 第二版

<参考資料:法令で規制されている項目リスト>
安全保障貿易管理**Export Control*貨物・技術のマトリクス表 (meti.go.jp)

外為法違反の主な原因(2017年4月〜2022年3月)

外為法違反の原因について、輸出貿易管理令を管轄する経済産業省貿易審査課が公表しているデータを見てみましょう。

このデータによると、違反の原因は「法令知識の欠如(該非判定の未実施)」が最も多く、23%にも及んでいます。故意・重過失等を除いたもの、つまり「悪気はなかったが輸出違反をしてしまった」項目を全て合わせると、該非判定の未実施・見落としが47%と実に半数近くを占めています。

該非判定を行う際の3つの落とし穴

該非判定をしなければならないことは分かっているのに、なぜ違反が起きてしまうのでしょうか。考えられる原因としては以下のようなものがあります。

①該否判定を行うべきかどうかを品名から判断しにくい

該非判定を行う際に見落としが起きる原因の1つとして「日常的に使われている品名」と「貿易管理の用語として使われている品名」が大きく異なるという点が挙げられます。

例えば、ドローンやラジコンヘリを「無人航空機」と記載していたり、ミキサーのことを「混合機」と表現したりしている点からも、非常に見落としやすくなっていることが容易に想像できます。このように自身が輸出する貨物は該非判定の必要がないと思い込んでいた、といったケースも起こり得ますので、一般的な品名で調べるだけではなく、他に考えられる「別名」が無いかを検討し、様々な名称で調べる必要があります。

日常で一般的に使われている品名貿易管理の用語として使われている品名
ドローン、ラジコンヘリ無人航空機
ミキサー混合機
バルブ
海上に浮かべるブイ浮力材
タンク、シリンダー貯蔵容器
コンピュータ電子計算機
ベアリング軸受

②複数の項番で規制されているものがある

商品によっては、複数の項番にまたがって規制されているものもあります。

例えば、三フッ化塩素を該非判定する場合、「輸出令別表第1の2項(21)」と、「別表第1の4項(6)」の2項目において規制が設けられています。規制されている項番を1つ見つけて満足するのではなく、該当項番のチェック漏れがないか慎重に検討する必要があります。

③軍事用途に転用可能な民生品も規制の対象

私たちが生活していくうえで身近なものの中には、スペック次第で軍事用途に使用できるものが存在します。例えば、「カルシウム」は人間に欠かせない栄養素の1つですが、高純度のカルシウムはウランやプルトニウムといった核燃料物質を製造するための還元剤として使用することができるため、スペックによっては輸出貿易管理令の規制対象となります。

このように、思わぬ商品が軍事用途に用いられる恐れがあるため、民生品であっても安心せずに、スペックによる規制が無いかどうかを確認する必要があります。また、実際にどういった用途に使われるか、どこの国のどのエンドユーザーへ輸出するのか等のチェックも必須となります。

<輸出貿易管理令別表1-2-21, 貨物等省令第1条第二十六号>

核燃料物質の製造用の還元剤又は酸化剤として用いられる物質であって、次のいずれかに該当するもの
イ  カルシウムであって、次の(一)及び(二)に該当するもの
(一)  カルシウム又はマグネシウム以外の金属の含有量が全重量の0.1パーセント未満のもの
(二)  ほう素の含有量が全重量の0.001パーセント未満のもの

まとめ

いかがでしたか。輸出貿易管理令は輸出者にとって非常に重要な法令です。輸出者自身もそれを認識し、遵守しようとする姿勢があるにもかかわらず、今回ご紹介した落とし穴により該非判定自体を誤ってしまい、結果として外為法違反につながってしまうという事例が往々にして存在するようです。

そうならないために、該非判定を行う際は以下の3点に十分に留意する必要があります。

①「日常的に使用している品名」と「貿易管理において使用されている品名」の違いに注意。
②複数の項番で規制されていないかをチェックする。
③扱っている商品で軍事転用可能なものはないか気を付ける。


輸出入のことでご不明な点がある場合には、ぜひお気軽に当社までお問い合わせください。

 

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