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【通関】輸出入申告に使用される「HSコード」とは?

 
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当社、丸一海運株式会社は、江戸時代1751年創業の港湾運送業から始まった由緒ある会社です。日本のみならず世界にむけた物流・海運のプロフェッショナルとして、お役に立てる情報を提供いたします!

貨物を輸出入する際には、貨物に関する様々な情報を税関に申告し、許可を受けなければなりません。この手続きを「通関」と言いますが、通関手続きを経て無事に輸出入許可を受けた際に交付される輸出(入)許可通知書に、10桁の番号が記載されていることをご存知でしょうか。

この番号こそがHSコードと呼ばれるものです。輸出入する全ての貨物は、どのHSコードに分類するのが適切かを申告前に決定し、このHSコードを使用して輸出入申告を行います。

今回はHSコードの概要についてご紹介いたします。

HSコード=国際条約(HS条約)を根拠に定められた世界共通の分類番号

HSコードの基本情報は以下の通りです。

「HSコード」は、「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)に関する国際条約(HS条約)」に基づいて定められたコード番号です。2022年7月現在、世界税関機構(WCO)が管理している同条約には、日本をはじめ159の国及びEUが加盟しています。また、非加盟国であってもHSコードを使用している国と地域があり、それらを含めると200以上の国と地域がHSコードを使用しています。

HSコード | 貿易・投資相談Q&A – 国・地域別に見る – ジェトロ (jetro.go.jp)

HSコードは、通関手続きにおいて使用される「モノを分類するための番号」です。

日常的に使用しているモノの一般名称をそのまま輸出入申告に使用してしまうと、人によって表現や解釈が異なる可能性があり不都合が生じます。例えば「ジュース」とひとことに言っても、「清涼飲料水」と申告する人がいたり、「飲み物」と申告する人もいるかもしれません。そのような統一されていない申告方法では、正確な貿易統計が取れないだけでなく、場合によっては関税の高い/安いにまで影響することも考えられ、不公平が生じます。

「同じモノ」は貿易統計においても同じモノとして計上され、誰が申告しても同じ関税率になるよう、HSコードと呼ばれる世界共通の分類番号が発案され、貿易上使用されることになっています。

HSコードの主な役割

1. 貿易統計を取る際に使用

財務省は定期的に「貿易統計」を発表します。貿易統計とは、どういったモノがどれだけの量、どこの国に輸出入されたのかを示す統計であり、この統計はすべてHSコードで計上されています。

2.輸入における関税率の決定

輸入においては、関税・消費税を納税しなければ輸入許可がおりません。この関税額の計算の基礎となる「関税率」は、HSコードごとに定められてます。誤ったHSコードを使用してしまうと、関税を過大に、もしくは過少に申告してしまうことにつながりかねません。このため、HSコードの確定は、慎重に、正確に行う必要があります。

3.EPAを使用する際に使用

EPA(経済連携協定)等を締結している国同士の貿易では、関税率をゼロ、もしくは低く抑えることが可能です。EPA等による関税率削減の恩恵を受けるためには、通関の際に、輸入貨物に対する「原産地証明書」の提出が必要になることが多いですが、この原産地証明書には輸入貨物のHSコードを記載することがルールとなっています。

「EPA締約国の原産品であること」を判定する基準のことを「原産地基準」といいますが、この中の一部はHSコードごとに定められているものがあります。これを「品目別規則」と言います。(※共通の原産地基準が設定されているHSコードもあります。)

つまりHSコードは、貨物の原産性(EPA等を適用できる資格を有するかどうか)を確認するための品目別規則を特定する役割も担っているということになります。

HSコードの構成について

HSコードは10桁で構成されていますが、頭6桁までは以下のように区切って考えます。

  • 類 → 頭2桁まで
  • 項 → 類を含む頭4桁まで
  • 号 → 類・項を含む頭6桁まで

号までの6桁が世界共通の番号となっており、7桁目以降は国ごとに独自の番号を定めています。そのため原産地証明書では号まで(頭6桁)のHSが記載され、原則として輸入申告におけるHSコードと一致していなければなりません

化学品が主に分類されるHS(類)について

当社が得意としている「化学品」は、主に27類~40類までに分類されます。成分や用途により分類が分かれるため、正確に決定するには100%の成分表や製品の用途の確認などが必要不可欠です。HSコードがどのような表になっているかをご覧になりたい方は、以下のURLから税番表(タリフ)を確認できます。

web輸出統計品目表 (kanzei.or.jp) ※輸出用HS
webタリフ (kanzei.or.jp) ※輸入用HS

※輸出と輸入では7桁目以降ではHSは異なる場合があります。

HS分類におけるルール

上記にてご紹介した税番表(タリフ)には、類(HS頭2ケタ)や項(HS頭4ケタ)ごとに表題がありますが、この表題に含まれるからといって100%当該箇所に分類されるとは限りません。これらの表題はあくまでも便宜上設けている見出しであり、実際には関税率表解説と呼ばれるルールブックの規定に従って判断する必要があります。

関税率表解説に関しては、以下のURLをご覧ください。https://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/

上記の関税率表解説には分類に関する様々なルールが定められており、以下の例のように一般的な感覚とは異なる分類になるものも多数あります。

例1:硝酸アンモニウム
  誤:無機化合物として28類に分類される
  正:肥料として32類に分類される

例2:エタノール
  誤:有機化合物として29類に分類される
  正:アルコールとして22類に分類される

まとめ

いかがでしたか。HSコードは貿易においては避けては通れないものであり、特に輸入においては関税率を左右する重要な番号です。化学品のHSコードを正確に分類するためには、化学に関する知識を持ちながら、かつ、関税率表解説の内容も熟知している必要があり、非常に専門的な内容であると言えます。当社は化学品を得意とする通関業者として、これまでに蓄積された経験とノウハウで、正確な分類に努めております。化学品の通関についてご相談がありましたら、是非当社までお気軽にお問い合わせください。

 

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