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少量の危険品の輸出は「海上輸送」VS「航空輸送」どちらがお得か比較

 
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当社、丸一海運株式会社は、江戸時代1751年創業の港湾運送業から始まった由緒ある会社です。日本のみならず世界にむけた物流・海運のプロフェッショナルとして、お役に立てる情報を提供いたします!

海外へ危険物の輸出を検討している中でこんな疑問はありませんか?

海上輸送と航空輸送のどちらがお得に安く輸出できるのかなぁ…?

当社にも、よくお客様から頂くご質問です。そこで、特に今回は「少量の危険物の輸出」に関して海上輸送と航空輸送のどちらがお得に安くできるのか? を解説します。

結論! 少量の危険物の輸出でも「海上輸送」が安い

金額面だけ比較すれば、少量の危険品でも海上輸送の方が安くなることが多いです。

本当に少量(500mlペットボトル1本分程度)の場合は航空貨物の方が安くなることもありますが、ほとんどの貨物は海上輸送の方が安くなります。

海上輸送・航空輸送の「金額」を算出する決定要素3つ

計算

海上輸送、航空輸送のそれぞれの金額を計算するには、以下の3つの要素が関係してきます。

1.ボリューム(サイズ)
2.向け地
3.危険品の種類

それぞれもう少し詳しく見ていきましょう!

金額の決定要素1)ボリューム(サイズ)

ボリューム(サイズ)とは、荷物の縦・横・高さをメーター(m)でかけ算した値「M3」と呼び、この値を使って計算します。

■M3とは:容積重量のこと。M3=縦(m)×横(m)×高さ(m)
■M3の計算事例:縦(2m)×横(2m)×高さ(2m)=8mがM3ということになります。

場合よってはドラムの個数やカートンの個数で相談いただくことが多いですがM3表示のほうが正確な料金を算出しやすいです。

航空輸送の場合、貨物が大きくなれば運賃が高くなり海上輸送よりも割高になりますが、少量の危険品輸送の場合(500mlペットボトル1本分程度)は航空輸送の方が割安になる場合があります。

「ボリューム」の観点からどちらが有利?

海上輸送の方が有利です!

丸一海運

金額の決定要素2)向け地

海上輸送・航空輸送ともにアジア方面よりも遠方の国の方が当然運賃が高くなる傾向にあります。

航空輸送の方が遠方への料金の上がり幅は大きいです。

「向け地」の観点からどちらが有利?

海上輸送の方が有利です!

丸一海運

金額の決定要素3)危険品の種類

航空輸送の場合、危険性が高いものや1容器の容量(20L以上)が大きいものは輸送上の制限があります。貨物専用機でなければ輸送できないものがあり貨物専用機の場合航空運賃は高くなる傾向にあります。

海上輸送では航空輸送ほど厳しい梱包ルールではないため危険性が高いものでも容量制限はあまりありません。基本的には海上輸送よりも航空輸送の方が梱包のルールは厳しいです。

「危険度の種類」の観点からどちらが有利?

海上輸送の方が有利です!

丸一海運

徹底比較!航空輸送vs海上輸送のメリット&デメリット

と、ここまでで基本的には海上輸送のほうが有利ということをお伝えしましたが、航空便・海上便それぞれのメリット&デメリットもあるので、実際に輸出をする場合はそれぞれを加味した上で検討をしなければいけません。

以下からもう少し詳しく航空便と海上便の違いを見ていきたいと思います。

航空輸送のメリット&デメリット

航空輸送

航空輸送のメリット

航空輸送の大きなメリットは2つです。

  1. 輸送時間が短い
  2. 手続きが早い
◎メリット1.輸送時間が短い

ほとんどの国は積み替えを日数に入れても1-2日以内に現地へ到着するスピードです。

輸送時間を海上輸送と比べた場合、圧倒的に早いのが航空便です。貨物の輸出を急いでいないお客様でも海上輸送のリードタイム(貨物作業時間)を嫌がり少量の危険品の場合は航空輸送でのご依頼を受けることがあります。

■輸送時間の比較例

向け地航空輸送海上輸送
上海数時間2~3日
ヨーロッパ方面1~3日
※積替え日を合わせて)
30~60日
※積替え日を合わせて
(向け地によって大きく変動します)
◎メリット2.手続きが早い

航空輸送はその性質上非常にスピードが求められます。商品によっては鮮度が落ちるもの、または納期遅れのもので特別急ぐものなど、とにかく急ぐ貨物が多いのが航空貨物の特徴です。全ての手続きが海上輸送に比べて早いです。

例えば、海上での貨物の搬入確認(コンテナから積み下ろし通関準備まで)は2~3日かかりますが航空貨物の場合は数時間で完了します。もちろん、貨物の量などが圧倒的に違うので比較できない部分もありますが航空貨物はとにかく全ての作業が早いです。

■手続きの早さ比較

航空輸送海上輸送
手続きにかかる時間数時間~1日1~2日

航空輸送デメリット

航空便のメリットに対して、デメリットは主に以下の3点です。

  1. 料金が高い
  2. 危険品を大量に輸出は不向き
  3. 型貨物を送れない、梱包ルールが厳しい
×デメリット1.料金が高い

海上輸送よりも運賃が割高になる傾向にあります。特に危険品の場合は運賃ディスカウントをあまり望めず、運賃も定価価格での料金になることが多いです。一般的に航空輸送は海上輸送の3倍費用がかかるといわれています。

航空輸送海上輸送
料金割高になる傾向航空便に比べると安め
× デメリット2.危険品を大量に輸出は不向き

危険品を大量に(1トン単位)で輸出する場合、運賃も高額になります。さらに、航空輸送の場合はスペースの確保や載せる飛行機が限られてきます。航空輸送の場合積載できる飛行機は大きく分けてPASSENGER(旅客機)とFREIGHTER(貨物専用機)に分かれており、圧倒的に旅客機の方が就航しています。

PASSENGER(旅客機)への危険品積載は数量などの厳しい制限を受けており大容量の危険品は貨物専用機にしか載せることができません。そのため、PASSENGER(旅客機)に比べて便数の少ない貨物専用機を利用せざるを得ないので、運賃は上がり便数もへり輸送コスト、輸送時間も長くなります。とはいえ海上輸送よりも圧倒的に早いです。

航空輸送海上輸送
危険品の大量輸出
× デメリット3.大型貨物を送れない、梱包ルールが厳しい

旅客機、貨物専用機に積載できる大きさになるため、高さや幅の制限は海上輸送よりも制限はきびしいです。

航空輸送海上輸送
大型貨物の輸出制限が厳しい制限は緩め

海上輸送のメリット&デメリット

海上輸送

海上輸送メリット

海上輸送のメリットは主に以下の3点です。

  1. 料金が航空輸送に比べて安い
  2. 大型貨物を一度に送れる
  3. 危険品は梱包ルールが航空輸送に比べてが厳しくない
◎メリット1.料金が航空輸送に比べて安い

弊社もサービスとして展開しています危険品混載サービスなどは、100kgを超える貨物を見積もった場合、航空輸送よりも海上輸送の方が1/3程度で抑えることができ、コストメリットがある輸送方法だと言えます。

航空輸送海上輸送
料金
(100kg以上の場合)
高い航空輸送の1/3程度
◎メリット2.大型貨物を一度に送れる

大容量の危険品の場合は航空輸送よりも海上輸送の方が適しています。
一度に送れる制限量が航空輸送よりも圧倒的に多いですし、1容器当たりの数量の制限もほとんどなく輸送できます。

航空輸送海上輸送
輸送量制限が厳しいほとんど制限無しに大量に送れる
◎メリット3.危険品は梱包ルールが航空輸送に比べて厳しくない

航空輸送のように材質によって1容器容量の限界やPASSENGER(旅客機)とFREIGHTER(貨物専用機)の制限がないため、ある一定のルールをクリアすれば大量に危険品を一度に輸送が可能です。

当社にもご依頼が時々ありますが、海上輸送する予定だった貨物が、納期の変更により海上輸送では間に合わないため。急遽きゅうきょ危険品の輸送を、海上輸送から航空輸送へ変更するご依頼を受けます。その場合、輸送の外装仕様は海上輸送のため、航空輸送では積載できないものもあり、最悪の場合小分けにして頂く場合があります。

「航空輸送」⇒「海上輸送」の変更はできますが、

「海上輸送」⇒「航空輸送」は制限があります。

航空輸送海上輸送
危険品の梱包ルール制限が厳しい制限が緩い

海上輸送デメリット

メリットが多い海上輸送ですが、もちろんデメリットもあります。

  1. 輸送時間が長い
  2. 航空輸送より手間がかかる
× デメリット1.輸送時間が長い

最大のデメリットになります。実際に貨物を受け取れる手配や手続きのスピードをいれると、さらに日数が航空輸送よりも長くなります。遠方になればなるほど輸送期間に差がつき品質の問題や急がれるお客様にとっては多少費用がかかっても航空輸送を選ばれる方はいます。

航空輸送海上輸送
輸送時間早い遅い
× デメリット2.手間がかかる

海上輸送は航空輸送に比べて時間がかかります。数量も圧倒的に多いので仕方ない部分がありますが、航空輸送のスピード感になれている方からすれば非常に遅く感じるでしょうし、海上輸送になれている方からすれば航空輸送のスピード感はついていくのが大変でもあります。

一つ一つの作業も航空輸送よりも時間がかかり、検査やコンテナに貨物を積載することやコンテナヤードにコンテナを持っていく作業でだいたい2-3日かかります。
同様の作業を航空輸送は1日程度で終わらせます。

航空輸送海上輸送
手続きにかかる時間数時間~1日2~3日

コスト勝負で海上輸送が勝ち!でいいのか?

単純なコスト勝負をすれば海上輸送の方がメリットがありますが、ただ海上輸送には弱点もあります。

海上輸送はどこの業者も最小単位を1M3になっているため、どんなに少ない量でも最小単位1M3の料金を請求されるため本当に少量の場合割高になりやすいです。

1M3とは?

1立方メートルとも言います。(1立米(りゅうべ)という方もいます)
1辺が1M(縦)X1M(横)X1M(高さ)=1M3になります。

海上輸送では「隔離規定」も考慮しなければいけない

海上輸送と航空輸送は輸送ルールも違うため同じ条件では輸送できない貨物があります。

それは航空輸送とは違う海上輸送の「※隔離規定」があります。

海上輸送の隔離規定ルールに該当するものは同梱(同じコンテナに積載する)ができないため、最小輸送単位がコンテナになります。たとえ一斗缶一つでも、隔離規定によって積載できないものは一斗缶一つだけでもコンテナ1本を使って輸送しなければいけません。

その場合は航空輸送よりもかなり割高になります。そのような場面では海上輸送の代わりに航空輸送が利用されます。

「隔離規定とは」
○○の危険品と○○の危険品は同じコンテナに積載できないというルールです。

まとめ

危険品を海上輸送・航空輸送する場合のメリット&デメリットの比較をまとめます。

航空輸送海上輸送
輸送時間◎(早い)×(遅い)
手続きにかかる時間◎(早い)×(遅い)
料金△(高い)◎(安い)
危険品の大量輸出×(制限が多い)◎(制限が少ない)
梱包ルールなど×(厳しい)◎(制限が緩め)

海上輸送で混載できない危険品で少量貨物の場合は航空輸送のほうが安くなる可能性があります。

それ以外では海上輸送のほうが安くなりますが、輸送日数は長くなるのでその点を考えて決めるべきです。

また海上輸送と航空輸送では梱包ルールが異なるためそれぞれに合った貨物外装にする必要があります。

関連記事:間違うと罰金!? 海上輸送での危険品の正しいラベル貼り方を解説

 

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