少量の海外輸出ならUN容器がいらない!?「少量危険物」制度とは?

危険物を国外に輸出する場合、本来は容器検査を受けた「UN容器」と呼ばれる特殊な容器に収納し、CLASSラベル等の表示をすることが必要です。
参考:危険物を輸出する際に必要な4つの書類について危険品輸送のプロが解説
でも、たった1kgしかない少量の危険物を輸出する場合でも、わざわざUN容器を使う必要があるのかな・・・?
という場面もあるのではないでしょうか?
実は、少量の危険物であればUN容器を用いなくても良いケースがあるのです。
そこで今回は、少量の危険物を海外に輸出する際に必ずしもUN容器を用いなくても良い「少量危険物」という制度についてお伝えします。
危険物の輸出時でも、UN容器を使わなくても良い条件とは?
通常、危険物を国外に輸出する場合には、「UN容器」と呼ばれる特殊な専用容器に収納することが義務付けられています。
しかし、次の要件を満たしている場合、UN容器を使用せずに危険物を輸出することが可能です。
●要件1.『危険物船舶運送及び貯蔵規則』の危険物リスト(※別表第1)の「少量危険物の許容容量又は許容質量」欄に容量又は質量が示されているもの。
※国土交通省海事局検査測度課 監修『危険物船舶運送及び貯蔵規則』,19訂版, 海文堂, 2019年, PP. 125-544(PP.1-419)に記載されています。
●要件2.危険物リストの「小型容器又は高圧容器」の欄に掲げられている※組合せ容器に収納すること(UN1950等を除く)。
※組合せ容器とは、外装容器と内装容器からなる容器を指します
●要件3.内装容器の容量又は質量は危険物リストの「少量危険物の許容容量又は許容質量」欄に定められた容量又は質量以下であること。
例)UN1263(PAINT or PAINT RELATED MATERIAL) PG3の場合、内装容器1個当たり5L以下。
●要件4.「少量危険物」の表示がなされていること(詳しくは下記にて説明しています)。
●要件5.外装容器1個あたりの総質量(Gross Weight)が30キログラム以下であること。
典拠:『船舶による危険物の運送基準等を定める告示』第7条の4
要件4の表示について|少量危険物の表示用のラベルとは?

- ひし形の寸法は一辺が10センチメートル以上、ふちの太さは2ミリメートル以上。
- 容器が小さい場合、一辺が5センチメートル以上、ふちの太さは1ミリメートル以上。
液体危険物の場合、追加のラベルも必要
さらに、収納される危険物が液体危険物の場合、外装容器に対して「上向き表示」も必要になります。

おわりに
いかがでしたでしょうか?
以上の要件を満たしている場合、輸出する危険物に対してCLASSラベルを貼り付けたり、国連番号や品名を表示したり、UN容器を用いる必要はありません。
しかし、その適用や各種の申請には危険物に関しての関係法令の理解と専門知識が必要になります。
当社は永年培ってきた豊富な経験とノウハウで、特に規制が厳しい危険物の法令・規則を熟知したスタッフにより安全で確実な輸送手続きをご提供いたします。
もしも危険物の輸出をお考えの際は、お気軽にお問合せください。