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輸出入者必見!RCEP発効で関税率はどうなる?!調べ方を解説します。

 
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当社、丸一海運株式会社は、江戸時代1751年創業の港湾運送業から始まった由緒ある会社です。日本のみならず世界にむけた物流・海運のプロフェッショナルとして、お役に立てる情報を提供いたします!

『地域的な包括的経済連携(RCEP)協定』が2022年1月から発効されることが決まりました。

日本にとっては、なんといっても中国、韓国と結ぶ初めての経済連携協定です。日本全体の貿易量から見てもこの二ヵ国は大きなウェイトを占めるので、非常にインパクトの大きい経済連携協定であると言えるでしょう。

一方で、中国、韓国以外の参加国については、日本はすでに別の経済連携協定等を結んでいる国ばかりなので、そこまで大きな影響はないと思います。

自社の輸出入貨物の関税率に影響はあるのか?

輸出入者の皆様にとって最大の関心は、「自社が取り扱う輸出入貨物の関税率に、RCEPの恩恵があるか?」という点でしょう。経済産業省が公表している資料では、RCEPにおける工業製品の関税撤廃率は以下のようになっています。

【対日関税撤廃率(品目数ベース)】
(筆者注:日本からRCEP締約国への輸出時、現地側の関税撤廃率)

86%~100% (ASEAN・豪・NZ)
86%(中)
83%(韓)

【日本の関税撤廃率(品目数ベース)】
(筆者注:RCEP締約国から日本への輸入時、日本側の関税撤廃率)

88%(対ASEAN・豪・NZ)
86%(対中)
81%(対韓)

外務省ホームページ「RCEPの概要」より

8~9割の品目について関税が撤廃されていることがわかります。つまり、工業品目を取り扱う輸出入者の皆様にとっては、かなり高い確率で関税率の恩恵が受けられるはずです!

RCEP税率の調べ方

では、自社の取り扱い貨物(もしくはこれから取り扱う予定の貨物)について、RCEPを適用した場合の関税率がどうなるのか、調べ方をご紹介します。

1、貨物のHSコードを確認

まずは、貨物のHSコードを確認しましょう。

HSコードとは、税表番号、税番とも呼ばれる10ケタの数字で、輸出入申告の際に使用されるコードです。すでに輸出入の実績がある貨物であれば、通関業者から送付された過去の輸出(入)許可通知書を見れば貨物のHSコードを確認できます。

ただし、HSコードは数年に一度改訂されるので、できるだけ直近の許可通知書で確認するようにしましょう。また、複数品目をまとめて申告している場合など、許可通知書を見ても不明な場合は、通関手続きを委任されている通関業者に確認してください。

これまでに輸出入実績がない貨物の場合は、税関、もしくは通関業者へ問い合わせを行って下さい。HSの確定には貨物に関する様々な情報が必要になるので、ある程度情報を揃えた上で問い合わせされることをお勧めします。(化学品であれば成分表、用途など。雑品や機械などであれば材質、用途、カタログなど。)また、問い合わせ後も、HSの確定のために必要な事項を質問させていただくことがあるので、あらかじめご留意ください。

税関への問い合わせは、輸入予定地を管轄する税関へお願いします。大阪税関であれば以下の連絡先になります。

大阪税関の問い合わせ窓口

電話番号:06-6576-3001

メールアドレス:osaka-sodan@customs.go.jp

輸出入通関手続や税番・税率等に関するお問い合わせ : 税関 Japan Customs

2、譲許表で関税率を確認(日本への輸入)

いよいよ譲許表で関税率を確認しましょう。譲許表とは、RCEP適用時の関税率表です。国ごとに設定されていますので、まずは日本への輸入時の関税率表を見てみましょう。

サンプルとして、3923.10-000(プラスチック製の箱、ケース、クレートその他これらに類する物品)の関税率を見てみます。日本国の譲許表のPDFで該当するHSの箇所を確認しましょう。(ページ数が多くかなり重いので、デスクトップ上にダウンロードされることをお勧めします。)

RCEPを適用した場合の税率は以下の通りです。
●ASEAN、オーストラリア、ニュージーランドを原産地とする製品:無税
●中国、韓国を原産地とする製品:3.5%(1年目)

譲許表を見るときには、以下の点にご注意ください。

①段階的に下がっていく品目がある!
仮にRCEPによる関税譲許の対象品目であっても、すべてが即時関税FREEとなるわけではありません。上記3923.10-000のように、1年ごとに少しずつ下がっていくものもあります。(3.9%はRCEP適用前の、WTO協定税率です。RCEPを適用すると1年目は3.5%となり、その後1年ごとに3.2%、2.8%…と下がっていきます。)

②中国、韓国だけ別の税率設定がある品目がある!
RCEPでは、一部のHSについては「中国」「韓国」の関税率が別で設定されているものがあります。3923.10-000もまさにその一つであり、ASEAN、オーストラリア、ニュージーランドに対しては「即時撤廃」となっていますが、中国、韓国に対しては1年目3.5%、そこから1年ごとに段階的に下がっていく税率設定となっています。譲許表を見るときは、一番右欄の備考にご注意ください。

③譲許表において「U」と表示されているものはRCEP譲許品目の対象外!
譲許表において「U」と表示されているHSについては、RCEPの対象外です。これらについては原産品申告書などをご準備いただいても、関税の優遇は受けられませんのでご注意ください。

3、譲許表で関税率を確認(日本からの輸出)

では次に、日本からRCEP締約国に輸出した場合の、各国の関税率の調べ方です。相手国の譲許表で、輸出相手国の譲許表を確認しましょう。表の見方は上記でお伝えした通りです。HSごとに関税率が設定されておりますので、輸出予定貨物のHSを元に調べてみて下さい。

まとめ

「来年1月にRCEP発効」のニュースが急に流れたので、びっくりされた方も多いかと思います。かくいう私もその一人です。さらにはRCEPのことを調べようにも、実際の関税譲許表までたどり着けない方も多いかと思い、今回記事にさせていただきました。RCEP適用のための具体的な手続きについては、これから税関による説明会なども開催され、少しずつ情報が固まっていくと思いますので、またこちらのブログで情報発信していきたいと思います。

 

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