【初心者向け】知ってる?輸入貨物と輸出貨物の保税運送の違い!
今回は、輸入貨物と輸出貨物の保税運送の違いについてご紹介します。
そもそも保税運送とは?
保税運送とは、外国貨物を保税地域間で移動させる行為のことを指します。前提として、外国貨物は原則、「保税地域」以外の場所に置いておくことが許されていないため、保税地域外に出すことはできません。ただし、現在蔵置中の保税地域から、別の保税地域までの運送であれば、「保税運送」の手続きを税関に対して行い、承認を受けることで運送が可能になります。
業界では保税運送のことを、OLT(オー・エル・ティー、Over Land Transportの略)と呼んでいます。
※保税運送に関する基本知識については、以下の記事もご参照ください。
意外と知らない!?保税運送について解説します!
輸入貨物の保税運送
輸入貨物の保税運送は、税関に対して「保税運送承認申請」を行い、税関から承認を受けることで可能になります。この申請の際に「保税運送期間」を通関業者で設定するのですが、この期間は、貨物の量やコンテナ本数、目的地までの距離などを考慮して十分に余裕のある期間を設定することが重要です。なぜなら、この期間内に必ず目的地の保税地域に貨物が到着しなければならないというルールになっているからです。万が一、期間内に到着しなかった場合は、税関からペナルティを受ける可能性があります。
輸出貨物を保税運送する場合とは?
輸出貨物はもともと「内国貨物」ですが、ご存知の通り税関から「輸出許可」を受けた時点で「外国貨物」になります。輸出許可済み貨物(外国貨物)を保税運送するパターンとして考えられるのは、主に以下の2つです。
①輸出許可を受けた保税地域 → コンテナヤード(CY)までの運送
②輸出許可を受けた保税地域 → バンニングを行う保税地域までの運送 → コンテナヤード(CY)までの運送
※コンテナヤードは、「指定保税地域」という保税地域の一つです。
上記の行為はいずれも「保税運送」に当たります。しかしながら、これらの行為ついては、「保税運送承認申請」の手続きを別途行う必要はありません。なぜでしょうか。
輸出許可済み貨物は「併せ運送」で運送可能!
輸出許可済み貨物の保税運送は、輸出許可通知書に付記されている下記文言により、コンテナヤード(もしくはバンニングを行う保税地域)に向けての運送が認められています。別途、保税運送承認申請を行わなくても良いのは、この文言があるおかげです。
これを一般的には「併せ運送」と呼んでいます。通関業者は手続きとして「輸出申告」を行っているのみですが、同時に「保税運送」も併せて認められているため、このような呼び方をされているようです。
この「併せ運送」の運送期間は通関業者で設定できるものではなく、輸出許可日から基本的には1週間という期間が自動的に設定されます。(通関場所と船積み場所の位置関係により、自動的に算出されるものと思われます。)
併せ運送の保税運送承認期間を過ぎたらどうなる?
輸出許可日から搬出日までに時間があく場合などは、輸出許可通知書の保税運送承認期間の日付を過ぎてしまうことが考えられます。こういった場合の救済措置として、この日付の後ろに『又は運送貨物の発送の日を起算日とする同期間』との記載があります。
つまり、【2022/07/28~2022/08/03】という日付は絶対ではなく、例えば貨物が保税地域から搬出される日が8/5である場合は保税運送期間を【2022/08/05~2022/08/11】と読み替えて運用することが可能です。この文言を根拠として、仮に搬出日が遅れた場合でも、特別な手続きなく保税運送が可能になります。
ただし、運送期間の起算日に関わらず、当初設定された期間(基本的に1週間)は厳守する必要があります。万が一この期間に貨物が保税地域に到着しなかった場合は、保税上の重大な過失となるため、事前に税関へ相談する必要があります。
まとめ
いかがでしたか。今回は、保税運送に関する豆知識をご紹介いたしました。外国貨物は、税関による厳しい監視下に置かれており、単なる「運送」であっても例外ではないということがお分かりいただけたかと思います。こういった単純な手続き一つとっても、コンプライアンスに則り適正に処理することが非常に重要です。貨物の輸出入のご相談は、AEO認定通関業者である丸一海運まで、お気軽にご相談ください。