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【原産地証明書】「積送基準」について解説します!

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当社、丸一海運株式会社は、江戸時代1751年創業の港湾運送業から始まった由緒ある会社です。日本のみならず世界にむけた物流・海運のプロフェッショナルとして、お役に立てる情報を提供いたします!

日本は、非常に多くの国と経済連携協定(EPA)を結んでいます。EPA締約国から日本に貨物を輸入する際には、原産地証明書を税関へ提出することで、非締約国から輸入するときよりも関税率を低く抑えることができます。これは輸入関連業務をされている方なら、良くご存知のことと思います。

しかしながら、EPAに基づく関税率(=特恵税率)の恩恵を受けるためには、「原産地証明書の提出」に加えてもう一つ、あまり知られていない必須条件があります。それが「積送基準」です。今回はこの積送基準について、ご紹介いたします。

「積送基準」とは

積送基準とは、特恵税率の適用の対象となる原産品が輸入国に到着するまでに、原産品としての資格を失っていないかどうかを判断する基準のことです。簡単に言えば「その貨物がつくられた国(原産国)の港から日本の港まで、輸送途中で貨物に対して何も手を加えずに、かつ、原則として直送されていること」という条件です。この条件を満たしていない場合、通関時に原産地証明書を提出したとしてもEPAの適用は認められません。

積送基準はどのように証明する?

輸入時に入手する船荷証券(Bill of lading 以降B/L)における船積港(Port of Loading)が原産国の港であること、同じくB/Lにおける荷揚港(Port of Discharge)が日本の港であることが、積送基準を満たすことの証明になります。実務においては、特に意識しなくてもこれらの条件を満たしているB/Lがほとんどのため、積送基準を知らない人も多いようです。

第三国を経由する場合は即アウト?

船社の本船航路の都合などで、輸送途中で第三国を経由(トランシップ)することがあります。この場合、積送基準が即アウトになるかというと、そうではありません。

ここでもやはり、B/L上の船積港(Port of Loading)が原産国の港になっており、荷揚港(Port of Discharge)が日本の港になっていれば、基本的には特に問題なくEPAの適用が可能です。

ただし大前提として、当該第三国において貨物に手を加えていない場合に限ります。また、当該第三国においては税関の管理下に置かれた状態(日本で言うところの「保税状態」)のまま蔵置、積替え等が行われることが基本となります。通常はあり得ませんが、当該第三国において一旦「輸入通関」されてしまったら、その時点でアウトになります。

第三国で在庫されている貨物について

船社の本船航路の都合による経由ではなく、輸出者の都合などにより、在庫を目的として第三国を経由するパターンも考えられます。この場合、一般的には当該第三国で輸入通関されるため、おそらく積送基準を満たせないことがほとんどでしょう。

仮に輸入通関しないまま第三国で在庫されていた場合、B/Lがどのような形で発行されるかにもよりますが、B/Lだけでは積送基準を満たすと認められない可能性が高いです。こういった特殊な事例においては、事前に税関へ相談しておくことをおすすめいたします。

荷受地と船積地との関係

通関実務を行っていると、B/L上の表記が以下のようになっている事例に出会うことがあります。

荷受地(Place of Receipt)中国
船積港(Port of Loading)香港
荷揚港(Port of Discharge)日本

つまり、B/L発行者が貨物の輸送を受託したのは中国だが、陸路で香港まで運ばれ、香港から船積みされた事例です。中国原産品についてRCEPを適用したい場合、このB/Lで積送基準を満たすと判断して良いのでしょうか。

結論としては、積送基準を満たします。東京税関が以前出した資料に以下のような事例が紹介されています。

(引用元:zeikan201706016_3c.pdf (kanzei.or.jp)

日EU EPAの考え方

日EU EPAは、締約国の数からみれば多国間(マルチ)協定のように思えますが、このEPAにおいては、EUは「一つの国」とみなすため、実は「EU-日本」の二国間(バイ)協定です。貨物の原産国の概念も、例えば「ドイツ原産品」などではなく「EU原産品」という考え方をします。

これは積送基準においても同様で、例えばドイツ産の貨物をEPAを適用して日本に輸入する際には、B/L上の船積港(Port of Loading)が必ずしもドイツの港になっている必要は無く、「EU加盟国の港」から船積みされていればOK、ということになります。

日アセアン包括EPAの考え方

一方で、日アセアン包括EPAは多国間(マルチ)協定です。このため、積送基準を見る上ではあくまでも「タイ-日本」「インドネシア-日本」など、原産国と日本の二国間に限定して判断しなければなりません。

例えば、インドネシア原産品を日アセアン包括EPAを適用して日本に輸入する場合、船積港(Port of Loading)はインドネシアの港でなければなりません。他のアセアン加盟国の港ではNGとなります。

まとめ

今回は、あまり知られていない「積送基準」についてご紹介いたしました。輸入実務に携わっていても、普段あまり意識していない人が多いと思いますが、万が一積送基準を満たさない場合はEPAの適用ができなくなるので、実は非常に重要な事項です。

今回の記事でご紹介した内容は、あくまでも基本的な考え方であり、絶対のものではありません。判断に迷うような事例は、必ず事前に税関へ相談するようにしましょう。

貨物の輸出入に関するお悩みは、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。

 

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