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【輸入通関】蔵入承認(IS)について解説!どんな時に行う手続き?

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当社、丸一海運株式会社は、江戸時代1751年創業の港湾運送業から始まった由緒ある会社です。日本のみならず世界にむけた物流・海運のプロフェッショナルとして、お役に立てる情報を提供いたします!

外国から日本へ到着した貨物は「外国貨物」と呼ばれ、「保税地域」という税関等の許可を受けた特定のエリアに蔵置されます。外国貨物のままでは、保税地域外に持ち出すことは原則できませんし、国内市場に流通させることもできませんが、輸入通関手続きを行うことで「内国貨物」となり、自由に取り扱うことが可能になります。

保税地域には「指定保税地域」や「保税蔵置場」、「保税工場」などいくつか種類がありますが、貨物を蔵置する場所として最も一般的なのは「保税蔵置場」です。CY(コンテナヤード)から外国貨物のまま運送(※保税運送の手続きが必要です)される場合、そのほとんどが「保税蔵置場」の許可を受けた倉庫に運ばれます。

外国貨物を保税蔵置場に蔵置できる期間

特別な手続きをせずに、外国貨物を保税蔵置場に蔵置できる期間は3か月間です。ちなみに、CY(コンテナヤード)は「指定保税地域」に区分され、外国貨物の蔵置可能期間は1か月間です。なんの手続きもしないままこれらの期間を経過した場合は、当該貨物は収容の対象となります。

蔵入承認(IS=Import for Storage)手続きとは?

通常であれば、上記の蔵置期間を経過する前に輸入通関手続きを行い、内国貨物として国内市場に流通させます。ただし、何らかの理由により期間内に輸入通関できない場合もあります。例えば、国内の市況に応じ、タイミングをみて輸入通関を行いたい場合や、一部の他法令の確認に時間がかかってしまい、3か月以内に必要な許可がおりない場合などが考えられます。

こういった場合に利用できるのが、「蔵入承認」という手続きです。実務上は「IS(Import for Strorage)」と呼ばれることもあります。この蔵入承認手続きを行うことで、保税蔵置場であれば2年間、外国貨物のまま蔵置することが可能になります。また、特別な事由があると税関長が認めた場合に限り、さらに追加で2年以内の期間で延長することもできます。

蔵入承認ができない場合とは?

一部の他法令(例えば食品衛生法など)の確認に時間がかかる場合に、蔵入承認を行うことは可能ですが、下記の他法令につきましては、蔵入承認申請を行う時点でクリアしておかなければ、蔵入承認自体が認められません。

イ 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成 14 年法律第 88 号)
ロ 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和 33 年法律第 6 号)
ハ 印紙等模造取締法(昭和 22 年法律第 189 号)
ニ 大麻取締法(昭和 23 年法律第 124 号)
ホ 毒物及び劇物取締法(昭和 25 年法律第 303 号)
ヘ 覚醒剤取締法(昭和 26 年法律第 252 号)
ト 麻薬及び向精神薬取締法(昭和 28 年法律第 14 号)
チ あへん法(昭和 29 年法律第 71 号)
リ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)
ヌ 植物防疫法(昭和 25 年法律第 151 号)
ル 狂犬病予防法(昭和 25 年法律第 247 号)
ヲ 家畜伝染病予防法(昭和 26 年法律第 166 号)
ワ 水産資源保護法(昭和 26 年法律第 313 号)
カ 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成 10 年法律第 114 号)
ヨ アルコール事業法(平成 12 年法律第 36 号)
タ 外国為替及び外国貿易法(昭和 24 年法律第 228 号)
レ 火薬類取締法(昭和 25 年法律第 149 号)
ソ 高圧ガス保安法(昭和 26 年法律第 204 号)
ツ 郵便切手類模造等取締法(昭和 47 年法律第 50 号)
ネ 石油の備蓄の確保等に関する法律(昭和 50 年法律第 96 号)
ナ 労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)
(引用元:関税法基本通達(該当は41ページ 第4章 保税地域 (customs.go.jp)))

なんでもかんでも蔵入承認により蔵置期間を2年間確保できるわけではないので、輸入通関の際に必要な他法令については、必ず現地船積み前に確認を行うようにしてください。

蔵入承認を行った後の手続き

蔵入承認を行った貨物は、原則2年以内になんらかの手続きを行う必要があります。選択肢としては、輸入通関を行うか、外国貨物のまま再輸出(積戻し)を行うか、外国貨物のまま廃棄処理(滅却処分)を行うか、などが考えられますが、通関できない事由が解消されたら速やかに輸入通関を行うことが一般的です。

蔵出輸入(ISW=Import from Storage Warehouse)

蔵入承認を受けた貨物を輸入通関することを蔵出輸入と言います。実務においては、ISW(Import from Storage Warehouse)と呼ばれることもあります。この蔵出輸入を行うときにはじめて、関税、消費税を税関へ納税し、税関から輸入許可が出て、晴れて内国貨物となります。内国貨物となったら、国内市場へ流通させるなど自由に取り扱うことが可能になります。

まとめ

いかがでしたか。一般的な輸入手配を行っている中では、蔵入承認を行う機会というのは多くないため、馴染みのない方も多いと思いますが、こういった選択肢があることは覚えておいて損はないと思います。ただし、何らかの理由により保税倉庫での蔵置期間を延ばしたいと思っても、必ず蔵入承認が認められるわけではありません。特に、輸入時の他法令がクリアできていないことを理由に蔵入承認を検討する場合には、法令により蔵入承認不可のものもあるためご注意ください。まずは税関へ事情を説明し、税関の指示に従ってください。

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