貿易のキホン!!インコタームズとは??
インコタームズ(Incoterms:International Commercial Termsの略、別名:建値 / 貿易条件)とは、国際商業会議所(ICC)が定めた国際規則で、貿易取引における費用や責任の負担範囲などが定められています。インコタームズを使えば、貿易条件を明確にすることができ、それらをわずかアルファベット三文字で表すことができるため非常に有用です。一方で、インコタームズの内容を正しく理解していないと、思わぬトラブルにつながる可能性もあります。
今回は、数あるインコタームズの中でもよく目にするものをご紹介いたします。
※以下のご説明はいずれも日本からの輸出の場合を想定しています。
1.EXW(工場渡)… Ex-Works
輸出者が指定した自社の倉庫・工場などで貨物を輸入者に引き渡します。引き渡すまでが輸出者の責任範囲であり、その後の輸送に関するリスク・費用などは、すべて輸入者の負担となります。
2.FOB(本船渡)… Free On Board
輸出者の責任範囲は、貨物を船に積み込むまでとなります。それまでの国内費用(トラック費用や倉庫費用など)及びリスクは輸出者負担です。それ以降の船の手配や海上運賃・リスク負担は輸入者となります。
3. CFR(運賃込)… Cost and Freight
輸出者の責任・危険負担範囲はFOBと同じですが、国内費用に加えて海上運賃も輸出者が支払う条件となります。海上輸送上のリスクおよび輸入港到着後の費用からは輸入者負担となります。
4.CIF(運賃保険料込み)… Cost Insurance and Freight
輸出者の責任・危険負担範囲はFOBやCFRと同じですが、国内費用・海上運賃に加えて保険料の負担義務も輸出者にあります。海上輸送上のリスクおよび輸入港到着後の費用からは輸入者負担となります。
5.DAP(仕向地持込渡)… Delivered at Place(旧:DDU…Delivered Duty Unpaid)
輸入国において、輸入者が指定する場所で荷下ろしの準備ができた時点(貨物引き渡し時)でリスク・費用負担の責任が輸入者へ移転します。つまり、荷下ろし時のリスク・費用負担義務は輸入者にあります。また、関税・消費税に関しては、輸入者が手配し支払うこととなります。
6.DPU(仕向地荷下渡)… Delivered at Place Unloaded
輸入国において、輸入者が指定する場所で荷下ろしが完了した時点でリスク・費用負担の責任が輸入者へ移転します。DAPとの違いは、荷下ろし時のリスク・費用負担義務が輸出者にある点です。つまり、輸出者は現地側の国内輸送(トラックなど)に関する手配から、荷下ろし完了までのリスク・費用を負担します。通関手配や関税・消費税の支払い、荷下ろし貨物の配送費用や国内費用は輸入者が負担します。
7.DDP(関税込持込渡)… Delivery Duty Paid
輸出者は、輸入国の指定場所に配送するまでの一切のリスク・費用(輸出地の国内費用・海上運賃・輸入国の国内費用等)を負担します。輸入国での関税・消費税の支払いも輸出者です。DDPが輸出者にとっては最もリスクの高い条件となります。
まとめ
いかがでしたか。インコタームズは貿易を行う上で最も基本的かつ重要な知識であると言えるでしょう。インコタームズをしっかりと理解し、輸出者・輸入者間で責任範囲を共有することで、トラブルを未然に防ぐことができます。本記事をきっかけに、すでにあるご契約内容などを再確認されるのも良いかもしれません。
国際物流に関してご不明な点がございましたら、ぜひお気軽に当社までお問い合わせください。