海上輸送と航空輸送の危険品ラベル・ラベリングは同じなの?
危険物を国際輸送する際、梱包や取扱い方法など様々なルールがあることはご存知でしょうか?海上輸送と航空輸送で国際輸送のルールが存在しますので、危険品ラベルについて一部ご紹介します。
まず、海上・航空の危険物輸送において定めている各専門機関について紹介します。
[海上]
国際海事機関(IMO)…海上輸送の船舶の安全に関するルールを定めた国連機関。
国際海事機関が危険物の輸送に関して定めた国際海上危険物規定(IMDG)に基づき海上輸送の安全基準を定めています。
[航空]
国際民間航空機関(ICAO)…航空の運航における安全に関する規則を定めた国連機関。
その中で世界の航空会社が加盟している「国際航空運送協会(IATA)」の規則、IATA航空危険物規則書(Dangerous Goods Regulations = DGR)の基本的なルールを基づいて国際航空輸送を定めています。
それでは、海上輸送と航空輸送の危険品ラベルについて詳しく見ていきましょう。
IMDG標札(ラベル)
IATA標札(ラベル)
赤丸…区分(CLASS) 2.1 / 2.2 / 3 の標札(危険品ラベル)
実は海上と航空で似ているようで少し(配色:白・黒)異なることはご存知でしたか?原則として海上と航空の規定に則り、標札(ラベル)を貨物に貼付しなければならないので注意が必要です。
海上輸送の場合は、各貨物の危険品ラベル(一辺:10cm以上)貼付だけでなく、海上コンテナの各側面にもバンサイドラベル(標識)という、大きな危険品ラベル(一辺:25cm以上)が必要になります。
しかし航空輸送の場合は、各貨物に危険品ラベル(一辺:10cm以上)を貼付すればOKで
貨物を詰めたULD(コンテナ・パレット等)には、危険品ラベルを貼る必要はありません。
青丸…航空輸送特有のラベルがいくつか存在しますので一部ご紹介します。
- 「貨物機専用」…貨物専用機のみ搭載可能を示すラベル[CAO]
- 「磁性物質」…磁電管、磁石(磁器が強いもの)[MAG]
- 「熱源から融離」…「クラス4.1の自己反応性物質[RFS]」と「クラス5.2の有機過酸化物[ROX]」を収納する場合に必要なラベル(※一部例外あり)
- 「深冷液化ガス専用」…非引火性ガス(クラス2.2)で深冷液化ガス[RCL]
次に、海上輸送と航空輸送の危険品ラベリング方法について詳しく見ていきましょう。
[海上]
- 標札(ラベル) 例) IMO: 3 ラベル
- 国連番号(UN Number) UN 1993
- 正式品名(Proper Shipping Name/成分) FLAMMABLE LIQUID, N.O.S.( ethanol)
[航空]
- 標札(ラベル) 例) CLASS : 3 /8 ラベル
- 国連番号(UN Number) UN 1263 / UN 1090 / UN 1718
- 正式品名(Proper Shipping Name/成分) Paint / Acetone / Butyl acid phosphate
- 荷主/荷受人名・住所 (Shipper/Consignee) ABC Chemical / CB Enterprises
- 貨物の正味量 (Net Quantity :〇L or〇kg) 3 L / 2 L / 0.5L
※航空輸送のマークとラベルは、同一面の近くに貼付しなければならないルール等も存在し、海上輸送よりルールが厳しくなっています。
比較すると、④・⑤の部分は航空輸送の際に追加で必要となり危険品書類の黄色枠の欄に記載されている内容となります。
下記が危険品書類の例です。
いかがでしょうか。今回は海上輸送と航空輸送の危険品ラベル・ラベリングの違いについて解説しました。海上輸送と航空輸送で国際輸送のルールが異なる上、それぞれ独自のラベルも存在し、危険品ラベルやラベリング方法が正しいかどうか、分からないこともあるかと思います。少しでも不安に感じることがあれば、ぜひお気軽に当社までお問い合わせください。