【輸出】危険品の輸送に必要な危険品明細書(デクラレーション)の記載内容についてご紹介します!
危険品を輸送する際には、「危険物明細書」「危険物・有害物事前連絡票」が必要であることを過去の記事でご紹介しました。今回は、このうち「危険物明細書」にフォーカスし、記載内容について詳しくご紹介いたします。
過去に記事はこちら→ 危険品輸送に必要不可欠!「危険物明細書」「危険物・有害物事前連絡表」とは?
危険物明細書とは?
危険物明細書(デクラレーション)とは、関係者の連絡先の情報や積載する本船の情報、積み地や揚げ地、どういった危険品の種類かといった事項を順に記載した書類です。
危険物船舶運送及び貯蔵規則では以下のように規定されています。
(コンテナ危険物明細書)
第三十条 危険物をコンテナに収納して運送する場合は、危険物の荷送人は、あらかじめ、次の各号に掲げる事項を記載したコンテナ危険物明細書をコンテナごとに作成し、船舶所有者又は船長に提出しなければならない。
一 コンテナ番号
二 荷送人の氏名又は名称及び住所
三 荷受人の氏名又は名称及び住所
四 コンテナ危険物明細書を作成し、又は船舶所有者若しくは船長に提出した年月日
五 危険物の国連番号、品名、等級、隔離区分、副次危険性等級及び容器等級
六 個数及び質量又は容積
七 その他告示で定める事項
では、一体どんなことが記載されているのか詳しく見ていきましょう。
1.荷送人、荷受人、運送人等の事項
SHIPPER(会社名・住所) / CONSIGNEE(会社名・住所) について記載します。近年では、荷受人欄の連絡先(電話番号・携帯番号など)の記載を求められている場合がありますので、事前に確認が必要です。
2.船名、船積予定日、船積港、陸揚港等の事項
積載する本船の出港予定日、積み地や揚げ地の情報について記載します。
3.防災処置や緊急時連絡先等の事項
事故発生時など緊急時の防災処置はどういったものかを示すEMS NO.や、危険品の情報を把握している者につながる緊急時の連絡先を記載します。
EMS (EMERGENCY SCHEDULE(S))とは、国際海上輸送上において危険品に該当するUN NO.(国連番号)に割り当てられており、火災時(FIRE)や漏洩時(SPILLAGE)の対応を記号で表記したものです。
緊急連絡先には、会社名と電話番号を記載します。24時間対応可能な電話番号を記載することが必要です。緊急時に化学品の情報をいつでも提供でき、迅速かつ正確な防災処置を行うためです。
4.危険物の明細、容器包装、個数、重量等の事項
国際法上のルールに沿った順番と記載方法で、どういった危険物なのかを記載します。
- UN NO. :4桁の国連番号
- PROPER SHIPPING NAME(危険品の正式品名) :N.O.S.(Not Otherwise Specified)で終わる場合は、具体的な正しい化学品名を記載。
- CLASS(SUB CLASS) :危険品の分類のこと。IMO(国際海事機構)が定めている国際海上輸送時における危険物の分類をさします。
- PACKING GROUP :容器等級のこと。危険物の危険性によって梱包容器が【 I / II / III 】と 3種類に分かれています。危険性のより高いものがI、より低いものがIIIです。ただし非該当の時は(NIL)と記載します。
- ADDITIONAL DESCRIPTION:上記で申告した危険品のことに付加して申告する内容をこの欄に記載します。例えば以下のような内容です。
・引火性液体(CLASS 3)に該当する危険品は、引火点(FLASH POINT)を記載する。
・海洋汚染(MARINE POLLUTANT)に該当か非該当かを記載する。
・少量危険物扱いとして輸送できる許容量内の貨物の時はLIMITED QUANTITYを記載する。
最後に、包装容器の種類、個数、重量(正味質量(NET WEIGHT)・総質量(GROSS WEIGHT))と容積(M3)を記載します。包装容器の種類は、危険品貨物を正しい危険品専用の容器(UN容器)に梱包していることを表す容器番号を記載します。容器番号とは、材質、形、種類を数字と英文字で組み合わせた記号です。
5.コンテナ番号、シール番号等の事項
コンテナにて輸送の場合は、該当のコンテナ番号とシール番号などを記載します。
6.関係法令に適合し、運送に適した状態であることを証明する宣言
荷送人のサインと、コンテナ詰めをした者のサインを記載する欄があります。
まとめ
危険品の取り扱いについて書かれた危険物明細書は、ルールに従い、どの項目も不足のないよう正しく記載しなければなりません。万が一記載内容が誤っていると、緊急時に不適切な方法で処置され事態が悪化するなど、重大な事故につながる可能性があります。港湾で働く労働者の安全を守るために、正確な内容を記載するように努めましょう。
危険物の輸出入についてご不明な点があれば、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。