【海上輸送】 リーファーコンテナを使用する際の注意点を解説します。

👆こちらは、過去にご紹介したリーファーコンテナに関する記事です。ぜひこちらもご覧ください。
以前、リーファーコンテナで貨物を輸出する際に気を付けなければならない点についてご紹介しました。 設定温度やベンチレーター(通気孔)の開/閉、プレクールの要否、早めにブッキングすること、MGシャーシを使用するかどうか、ドライコンテナとの内寸の差などなど…注意点はいくつもありますが、今回はその中でも【コンテナの寸法】に照準を当てて、注意すべき点についてもう少し詳しく解説します。
まず、リーファーコンテナの構造についてですが、適切に温度管理ができるよう外壁&内壁の二重構造になっており、その間に断熱材が入っています。
そして、コンテナ前部(ドアの反対側)には冷却ユニットが備え付けられています。
このため、貨物を収納することができるコンテナ内部の空間はどうしてもドライコンテナより小さくなってしまいます。

*ドライコンテナとリーファーコンテナの比較 略図*


幅はわずか約7cmの差ですが、リーファーコンテナには冷却ユニットがある分、長さ(奥行)は実に40cm以上も違ってきますので、要注意です。
リーファーコンテナの内寸長さは545cm…なぜこれが要注意なのか?
ドライコンテナの内寸長さ約589cmに対して、リーファーコンテナは約545cmです。
この44cmの差は、貨物をバラ積みで積載する場合よりもパレット梱包(パレッタイズ)して積載する場合に特に注意が必要です。
日本国内で主に流通している110cm四方のパレット(通称 “11型パレット” )は、日本のみならずアジア諸国共通の規格となっており、このサイズのパレットが非常に良く使われます。
ここですでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、この11型パレットに貨物を梱包してコンテナに積載しようとした場合に、コンテナの内寸長さが大きく影響するのです。
ドライコンテナの場合、横に2パレットx前後に5パレットで、10パレット積載可能(段積みすれば20P/L積載可能)ですが、リーファーコンテナは奥行きが545cmのため前後方向には4パレットしか入らず、最大8パレット(段積みの場合16パレット)となってしまうのです。
そのため、ドライコンテナに20パレットフル積載での輸出を定期的にされていて、まれにリーファーコンテナでの輸出を計画されますと、うっかり普段のドライコンテナと同じ感覚で20パレット積載する想定をしてしまって「4パレット入らない…」という事態になりかねません。

リーファーコンテナを使用される際はこの点に十分ご注意ください。
なお、余談ですが、11型(110x110cm)の他に12型(100x120cm)のパレットもアジア共通の規格となっており、これら2種類のパレット寸法の数字にちなんで11月12日は「アジアのパレットの日」 に制定されています。
内寸長さ(奥行)以外に、高さにも注意が必要です。
20フィートコンテナの内寸高さは、ドライコンテナが239cmに対して、リーファーコンテナは226cmです。
13cmの差がありますが、実はそれだけではないのです。
下の画像をご覧ください。コンテナ両サイドの天井付近に赤い線と “NO CARGO ABOVE THIS LEVEL WHEN USED AS REEFER” と書かれています。

この線は見た目のまま「レッドライン」と呼ばれ、20フィートのリーファーコンテナは天井から75mm下に、40フィートのリーファーコンテナは天井から100mm下の位置に引かれています。
もともと内寸高さに13cmの差がありますが、この注意喚起に従うとドライコンテナとリーファーコンテナとでは積みあがることができる貨物の高さは20cmも変わってきます。この差は大きいです。
「この線を超える高さまで貨物を積み上げてはならない」 とはなぜでしょうか?
その答えは、「コンテナ内の冷気の循環を妨げないようにするため」です。

リーファーコンテナ内の上部からエアーを取り込み、冷やされた冷気が下部から出てきます。
そのため、床面は一枚の板状ではなくスキマのある “Tフロアー” になっています。

コンテナを横から見ると図のようにコンテナ内で冷気が循環する仕組みになっていますので、レッドラインの高さを超えて天井いっぱいまで貨物を積み上げてしまうと、うまく循環ぜずせっかくリーファーコンテナを使用してもじゅうぶんな保冷/保温効果が期待できないことになってしまいます。
「まだもう1段積めそう!」と思っても、レッドラインの高さを超えないようにご注意ください。


以上、今回は 「リーファーコンテナを使用する際の注意点を解説しました。
皆様のご参考になれば幸いです。
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