RCEPのポイントをざっくり解説!(中国・韓国からの輸入)
2022年1月からいよいよRCEPが発効されます。今回は、特に中国と韓国からの輸入に絞って、ポイントを見ていきたいと思います。
発効時期はいつ?
RCEP発効のタイミングは以下の通りです。
中国:2022年1月1日
韓国:2022年2月1日
韓国は国内手続きの遅れにより、他の国より1か月遅れて、2022年2月1日からの発効となりました。いずれも「輸入申告した日」がRCEP発効後であれば、原産地手続きを行うことでRCEP税率の適用が可能です。
例えば、以下のような場合でもRCEPの適用は可能です。
2021年12月28日 中国からの貨物が日本に到着
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2022年1月4日 輸入申告
原産地の証明方法は?
中国及び韓国からの輸入の場合、以下の3つの方法があります。
①第三者証明制度
現地の発給機関により発給された『原産地証明書』を輸入申告の際に日本の税関へ提出する方法。RCEPで定められた様式(FORM RCEP)のみ有効なものとみなされるため、他の様式の原産地証明書や、現地メーカーが独自に発行した原産地証明書は、RCEP適用のために使用することはできないので要注意。税関への提出方法は原本、もしくはカラースキャンしたPDFデータでもOKのため、通関業者へはカラースキャンしたPDFデータを送付すればよい。
②認定輸出者制度
経済産業大臣による認定を受けた輸出者自らが原産地申告を作成する制度。認定を受けた輸出者がどの程度いるのか不明だが、全体の輸入に占める割合は決して多くないと思われる。取引相手が認定輸出者でない限りは利用できないので、その機会は少ない。
③輸入者による自己申告
輸入者自身が輸入貨物に関する情報を集め、原産地規則を満たしていること自ら税関に証明する方法。現地メーカーや現地シッパーの協力が不可欠であり、必要な情報が開示されないこともしばしば。この手続きに必要な書類としては以下の3点。
・原産品申告書
・原産品申告明細書
・上記書類の内容を裏付ける資料(原材料一覧表、製造工程表など)
RCEPにおける『輸入者による自己申告』を活用する場合の注意点として、原産品申告書は英語で作成する必要があるということが挙げられる。『輸入者による自己申告』の制度自体は日EU EPAやTPP11などでも採用されており、かなり一般的になりつつあるが、英語での作成を必須としているのはRCEPが初めて。これにより若干ハードルが高くなっている。なお、原産品申告明細書については、日本語での作成でもOK。
どの証明制度を活用すべき?
最終的には輸入者様のご判断にはなりますが、ひとまず第三者証明制度を活用する方向で検討されるのが良いのではないでしょうか。現地シッパーに、RCEPの原産地証明書の発給をご依頼ください。ただし、仮に第三者証明制度を利用する場合であっても、現地側に任せっきりではなく、輸入者様ご自身で輸入貨物の原産性を確認するされた方が安全です。万が一、税関の事後調査などでRCEPの適用が事後的に否認された場合、追加で関税・消費税を支払うことになるのは輸入者様です。ご自身の身を守るためにも、きちんと原産性を確認しておくことをお勧めいたします。
「1年目」の期間は?
日本は4月で年度が変わるため、RCEP税率の引き下げのタイミングも4月に設定されています。具体的には以下のようなスケジュールになります。
1年目:2022年1月~2022年3月
2年目:2022年4月~2023年3月
3年目:2023年4月~2024年3月
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上記の通り、「1年目」は最初の3か月だけで、2022年4月からは早速「2年目」の税率が適用されます。少しお得な気がしますね!
まとめ
本記事のポイントをまとめると以下のようになります。
- RCEPの発効時期は、中国2022年1月1日、韓国2022年2月1日
- まずは第三者証明制度を活用する方向で検討するのがベター
- 輸入者様ご自身でも原産性のご確認を
- 「1年目」は2022年3月まで!
RCEPの概要を理解するのに、本記事がお役に立てれば幸いです。ぜひ積極的にRCEPを活用し、貿易を活性化しましょう!